サクッと読める、パリが舞台の小説3選

オリンピックに向けて

2024年は、オリンピックイヤー。
開催地は、花の都パリ!
ということで、今年は、パリが舞台の小説で、比較的サクッと読める3冊を選びました。

パリが舞台の小説3選

  • 『壁抜け男』マルセル・エーメ/著
  • 『掟上今日子の旅行記』西尾維新/著 
  • 『モルグ街の殺人』エドガー・アラン・ポー/著

『壁抜け男』マルセル・エーメ/著


20ページほどの短編。

主人公は、真面目な公務員の男、デュティユール。
ある日突然、壁を通り抜けられるという能力を手に入れてしまいます。
特に使い道も困りごとないまま、一年近く過ごしていたデュティユール。
しかし、職場に相容れない上司がやってきたことで、状況は一変。
彼は能力を使う快感を知ってしまうのです…。

パリのモンマルトルには、壁抜け男の彫像がある。
ミュージカル化も。

モンマルトルには、壁抜け男が壁を通り抜けているところの彫像があり、パリの名所の一つとなっています。
彫像のお顔は、作者のエーメがモデルだそうです。
またミュージカル化もされ、フランスではロングランを記録したとのこと。
日本でも、劇団四季によって上演されたそうです

能力に気づいた主人公が、まず訪れた先はなんと病院。
しかも、医者はそれらしい診断も下した上で、薬を処方します。
なんとも不思議な世界観ですが、もの悲しいような、でも湿っぽさのない読後感は癖になります。

『掟上今日子の旅行記』西尾維新/著


人気シリーズの舞台がパリへ!

記憶が一日しか持たない探偵、掟上今日子の活躍を描いた忘却探偵シリーズの8冊目。
行く先々で身に覚えのない犯罪の疑いをかけられる、冤罪体質の語り手、隠舘厄介(かくしだて やくすけ)。またも冤罪によるトラブルで勤めていた会社を辞めざるを得なくなり、退職金がわりにパリ行きの旅行券をもらいます。
生まれて初めて海外、フランスの地に降り立った厄介ですが、空港で忘却探偵・掟上今日子らしき人物を見かけます。1日しか記憶を持てない人間が海外旅行をして大丈夫なのか、そもそも本人なのか、彼女を追跡するところから物語が始まります。

ヒロインは、鉄の貴婦人、エッフェル塔?

パリの名所、エッフェル塔がフューチャーされたお話となっています。
今やパリのアイコンとなっているエッフェル塔ですが、パリ万博(1889年)のために建設された当初は、その外観が奇抜として賛否両論が巻き起こったそうです。
今回、このエッフェル塔を盗む、という奇想天外な犯行予告がパリ警視庁に送られ、今日子さんはその捜査のためにパリにやってきたそうなのですが…。
エッフェル塔を盗むなんてことが果たして可能なんでしょうか。

久々に忘却探偵シリーズを読みましたが、今日子さんは相変わらず魅力的なキャラクターでした。
パリのカフェでお茶する今日子さん、ブティックで爆買いする今日子さん、絵になります。

『モルグ街の殺人』エドガー・アラン・ポー/著


史上初の推理小説!

史上初の推理小説、探偵小説と言われるこの作品。
小学校高学年の頃に読んで怖かった記憶がありますが、お話の舞台がパリだったことを今回初めて知りました。
モンマルトル、パレ・ロワイヤル、サン・ロック、サン・ドニ、サン・ジェルマン。
読み進めると、パリとパリ近郊の地名が次々と登場します。

『モルグ通りの殺人』?

パリのモルグ街で、母と娘が惨殺されるという事件が起こり、警察は事件当日に家を訪れた人物を逮捕します。
これを新聞で知った、C・オーギュスト・デュパンは、持ち前の観察力、分析力をもって事件を再捜査していきます。
原題は「The Murders in the Rue Morgue」。
フランス語で “Rue”は、”〜通り”の意味。一般的な通りのことで、シャンゼリゼ通りのような通りは”Avenue”というそうです。
パリでは、すべての通りに名前がついていて、著名人の名がつけられた通りも多いそうですが、”Rue Morgue”という通りを地図では見つけられませんでした。
流石に実在しないようですね。

本のタイトルをググると、検索候補に真犯人が現れます…。
この作品くらいですよね。